musical SEMPO 日本のシンドラー杉原千畝物語

公開稽古&会見REPORT

8月28日、ミュージカル『SEMPO 日本のシンドラー 杉原千畝物語』の公開稽古と会見が行われた。

「今日から、ビザの発給を始めます。」

吉川晃司演じるリトアニアの日本領事代理・杉原千畝が、ナチスドイツの迫害から逃れてきたユダヤ難民たちにそう告げるシーンから始まった公開稽古。杉原の書く「命のビザ」に唯一の希望を託すユダヤ人たち、体力の限界を超えてまでもその想いに応える杉原、杉原の戦いを覚悟をもって見守る家族…。ダイナミックな五重唱と迫真の演技がそれぞれの苦悩と決意を余すところなく伝え、稽古場の空気を震わせていく。最後にマルシア演じるユダヤ人エリーゼが、未来に希望を託すソロをしっとりと歌い上げると、稽古場は涙と拍手に包まれた。

続いて行われた会見には、演出の上島雪夫と、杉原千畝氏の実の曾孫・杉原織葉を含む9名のキャストが登場。質疑応答に応じ、作品の魅力をアピールした。登壇者の主なコメントは以下の通り。

杉原千畝役:吉川晃司
「杉原さんは稀代の偉人。人生をかけて、全身全霊で臨むしかないと思っています。僕はあとから合流したんですが、皆さんの稽古を見ていただけで涙が出てきて、すごいことになるんじゃないかと思いました。あとは僕が精いっぱいがんばるだけ。エンターテインメントとして届けることで、命の尊厳やその反対側にある権力について、皆さんと一緒に考えることができればいいなと思っています。センポさん、力を貸してください。」

杉原幸子(杉原の妻)役:鈴木ほのか
「吉川さんは、存在感もオーラもとても大きい方。それをきちんと受け止めて、幸子夫人が千畝さんに対してそうであったように、包容力を持って献身的に支える良き妻、強き母でありたいと思います。天国で見ていらっしゃる幸子夫人、また千畝さんが喜んでくださるように、いい舞台を作りたいと思っています。」

ノエル(杉原に救われるユダヤ人青年)役:坂元健児
「千畝さんは約6千のビザを発給したらしいのですが、その子孫たちは今や25万人にも上っているそうです。僕の役には、恋人と家庭を築いて“生”を残していくという役割がありますので、そこを丁寧に感じながら演じたいと思っております。」

エバ(ノエルの婚約者)役:白羽ゆり
「坂元さんと私の役は、大変な時代にあっても、明るい未来を信じて生きていこうとした二人。シリアスな物語のなかで、ホッとできる存在になれればと思っています。私は実は地元が福島で、震災後いろいろ考えさせられることが多かったのですが、命こそ大事だというシンプルだけど難しいことを、この作品を通して伝えていけたらと思います。」

杉原節子(幸子の妹)役:片山陽加(AKB48・ダブルキャスト)
「簡単に言葉で言えない重い内容ですが、今の若い人に足りないものがたくさん含まれている舞台だと思います。私にとっては今までにないチャレンジですが、この作品に恥じないようがんばっていきますので、幅広い世代の方に観ていただきたいです。」

杉原節子(幸子の妹)役:佐藤亜美菜(AKB48・ダブルキャスト)
「最初にお話をいただいたときは苦手意識をもってしまったのですが、勉強するうちに、杉原千畝さんという存在を知らなかった自分が恥ずかしい、知ることができて良かったと思えるようになりました。難しそうだと感じる方も多いと思いますが、とても面白くわかりやすい舞台なので、若い世代にこそ観て、千畝さんのことを知ってほしいです。」

エリーゼ(エバの母親)役:マルシア
「何年かぶりの舞台が『SEMPO』になったのは、何かの必然だと思います。感謝をこめて、役として、マルシアとして、この舞台に生きたい。こういう方がいたということを、この舞台、音楽、台詞を通して、たくさんの皆さんに届けられたらなと思っています。」

カイム(杉原に救われるユダヤ人)役:沢木 順
「初演に続いての参加になりますが、5年の間に吉川さんが、おこがましいかもしれませんが、ぐぐぐっと存在感を増しているのを感じました。新しい『SEMPO』は、世界に飛び立つことのできる作品になると実感しています。どうぞご期待ください。」

ソリー(杉原救われるユダヤ人少女)役:杉原織葉
「曾祖父の名に恥じないよう、この作品に曾孫として参加させていただくことの意義や意味をしっかりかみしめながらがんばっていきたいと思います。曽祖父に会ったことはないのですが、ビザを書いている吉川さんの背中がとっても広くて、大きなものが感じられるなあと思いました。」

演出:上島雪夫
「事実でありながら類まれなドラマをミュージカル化するということで、プレッシャーと喜びを感じております。日本から世界に向けて発信するミュージカルとして、杉原さんほどふさわしい主人公はいないと思っているので、世界に恥じないものを作りたい。世界地図が塗り替わっていく様子や、汽車の窓からもまだビザを書いているシーンなどを、ものすごいスペクタクルにしてお見せできればと思っています。」

終始なごやかな雰囲気のなかで行われ、カンパニーの結束の固さを感じさせたこの日の会見。最後には、吉川晃司が「けっして難しいお話じゃなく、しっかりしたエンターテインメント。号泣される方が多いと思いますし、楽しんで帰っていただける作品です」と締めくくり、座長としての存在感を見せた。




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